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すれ違いざまにちょっと見ただけなんだけど、いつも歯を磨いている洗面台で男が背中をかがめて立っていたんだ。
これは、自分の家で、自分の部屋の扉を開けて、自分の家の食堂へ行こうと思った時に見かけたわけだけど、それが誰なのか、とか不審は感じなかった。本当、通りすがりに見かけたってだけ。
で、顔を洗っているんだろうなと思ったんだけど、そいつ顔だけは前を、つまり、洗面台の蛇口あたりを睨んでいるみたいで、身体がものすごく緊張していた。背中の筋肉が盛り上がっていた。
で、食堂は一階だから、その洗面台の横を通り過ぎて階段を下りかけたとき、その男が思い切り両手を前後に振ったのが目の端にちらりと見えたんだ。
「えっ?」と思ってよく見たら、男が頭からまっすぐに洗面台へすいこまれていくところだった。
僕はあわてて洗面所に駆け込んで、出しっぱなしだった水を止めたんだ。水道代がもったいないなと思いながら。
これは、自分の家で、自分の部屋の扉を開けて、自分の家の食堂へ行こうと思った時に見かけたわけだけど、それが誰なのか、とか不審は感じなかった。本当、通りすがりに見かけたってだけ。
で、顔を洗っているんだろうなと思ったんだけど、そいつ顔だけは前を、つまり、洗面台の蛇口あたりを睨んでいるみたいで、身体がものすごく緊張していた。背中の筋肉が盛り上がっていた。
で、食堂は一階だから、その洗面台の横を通り過ぎて階段を下りかけたとき、その男が思い切り両手を前後に振ったのが目の端にちらりと見えたんだ。
「えっ?」と思ってよく見たら、男が頭からまっすぐに洗面台へすいこまれていくところだった。
僕はあわてて洗面所に駆け込んで、出しっぱなしだった水を止めたんだ。水道代がもったいないなと思いながら。
その他
公開:18/11/16 13:01
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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