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「なあ、さっきから俺の背後をこそこそとつけ回しているのは奴は誰だ?」
侍は鯉口を切り、暗闇を睨んだ。
辺りは真っ暗で地面の砂利すらも見えなかった。

「さすが、勘だけは鋭い侍だ。いや、恐れいった」
敵方は背後から姿を現し、侍を褒め称えながら歩み近づいた。
その家来達が侍の四方を塞ぎ、刀を構える。

「名を申さなくても、死人には支障はなかろう・・・やれ!」
敵方は家来に合図を出す。
家来達は刀を侍に振りかざした。

侍は家来達の振りかざした刀を避け、一人の家来を足払いし、心臓に刀を突き刺した。
そして、身を翻し、四方から迫ったその家来達の胴を反動をつけ横に切り込んだ。血飛沫があがる。

「何!?」
侍は家来達を倒した後、勢いよく走り、敵方の側に寄った。
血に飢えた野獣の目で鋭く睨む。
敵方に柄さえ握らせずに、首元から斜めに切り込む・・・

闇夜に咲くしだれ桜が静かにその様を見守った。
その他
公開:18/11/15 23:47

神代博志( グスク )









 

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