4
10
その日の午後は仕事にも集中できず、呆然として帰路についた。けれど家についてしばらくすると、今度はじわじわと腹が立ってきた。
思えば水瀬君に関しては、いつも私ばかり振り回されている気がする。
結局いつだって水瀬君の考えていることなんてわからないというのに、私はそれに気を揉んで、右往左往するばかりだ。
考えれば考えるほど、あの憎めない笑顔と最近の態度が交互に脳内を巡って、さらに胸がざらついていく。
「あーもう! 水瀬のばーーか!」
部屋でひとり声に出して叫ぶと、少し胸が軽くなった。
そうしてわずかにすいた胸に残ったシンプルな感情に向き直って、私は、ひとつの勝負に出ることを決めた。
「……先輩? え、と……」
翌日、水瀬君の退勤を待ち伏せた私は、毅然と水瀬君の眼前へ一枚の紙をかざした。
すうっと息を吸い込んで、はっきりと声にする。
「こちら、ご予約キャンセルの連絡に参りました」
思えば水瀬君に関しては、いつも私ばかり振り回されている気がする。
結局いつだって水瀬君の考えていることなんてわからないというのに、私はそれに気を揉んで、右往左往するばかりだ。
考えれば考えるほど、あの憎めない笑顔と最近の態度が交互に脳内を巡って、さらに胸がざらついていく。
「あーもう! 水瀬のばーーか!」
部屋でひとり声に出して叫ぶと、少し胸が軽くなった。
そうしてわずかにすいた胸に残ったシンプルな感情に向き直って、私は、ひとつの勝負に出ることを決めた。
「……先輩? え、と……」
翌日、水瀬君の退勤を待ち伏せた私は、毅然と水瀬君の眼前へ一枚の紙をかざした。
すうっと息を吸い込んで、はっきりと声にする。
「こちら、ご予約キャンセルの連絡に参りました」
恋愛
公開:18/11/17 06:50
更新:18/11/17 09:38
更新:18/11/17 09:38
予約の後輩くん
高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
ログインするとコメントを投稿できます