三田タクシー

13
10

年末になると忘年会やら何やらで
酒の席が増える

或る日の夜 終電を逃して
真っ赤な色のタクシーを拾った
乗務員は割と高齢で長い白髭を生やしていた

自宅の住所を告げ車内で
うつらうつらしていると
夢を見た

妻と子が
温かいご馳走を作り部屋を飾りつけ

俺の帰りを今か今かと
待っているようだ

あれから何時間
経ったのだろう

料理は冷めきり
目に涙を浮かべてる子を
妻がなぐさめている
「きっとパパは仕事で忙しいのよ」

昨日はイブ
そういえば二ヶ月前に
一緒に過ごすと約束していたのだ
俺は激しく後悔した

目が醒めると タクシーは家の前に
到着した

金を払って降りようとすると
乗務員が
「実は私 サンタなのです
あなたの子供から
一緒にイブを過ごしたいと
手紙を貰いました

ですからこの魔法のタクシーで
3時間 過去に戻りました
あとは宜しく頼みますよ
メリークリスマス」
ファンタジー
公開:18/11/16 23:17
更新:18/11/16 23:40

春星( 神奈川県 )

春星と申します

自宅では一児の親
職場では会社員

そして通勤電車の中では
自称ショートショート作家に
大変身‼︎

長い冬眠から目が覚め
久々に復帰しました
また皆様宜しくお願い致します!

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容