日の丸

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末吉・・・
その名の通り、人生が末吉のように進んでいき、幸運を掴むどころか生きていくのがやっとである。
歳を重ねる毎に、夏祭りの提灯が灯籠流しの橙色に見え、近い将来、死へ乗船を示唆しているかのようだった。
寿命で心臓病を患っているのなら、生に抗う真似はしないだろうが、何せ、命を授かった以上、十分にすり減らしてから極楽浄土に迎えられたいのが常心であろう・・・
末吉は、強制労働を強いられながら、鉱山の洞をスコップで掘り進めていた。
二時間に一回の頻度で、吐き気を催しながら、身体にむち打ち、日本の将来とやらにその身を捧げていたのであった。
世も末・・・
まさに今の末吉に当てはまる言葉である・・・
「なあ。末さんよ・・・ここいらで休憩を取らないか?」
末吉の仲間の新雪は心配で声をかけた。
かぶりを振り、告げる。
「俺の将来がここにあるのなら、命を惜しまずに働くさ。日の丸のために」
その他
公開:18/11/16 22:34

神代博志( グスク )









 

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