特別な一皿

我が家には神様がいる。
料理を運んでいる時、時々何もないところで転びそうになるんだよ。
そんなのたまにあるだろうって？それが違うんだよな。
転びかけると運んでいる料理はどうなると思う？落ちる。普通はそうだろ。
でも、ウチの場合、皿が割れるだけでその上にあった料理はフッとどこかに消えるんだ。不思議な話だろう。
ウチとしては床が汚れないことに正直助かっている。掃除が楽だからな。
それになぜかこの出来事があった次の日にはいいことがあるんだ。
だからウチでは皿が割れると「繁盛、繁盛」と大喜びだ。
きっと料理は神様が攫って行ったんだろう。いいことは神様からのお代と思っている。
料理をどこかに持って行って、さらわれる。なんてな。
ウチの料理は神様にとって特別な一皿らしい。
ん？それは是非とも食べてみたいって？いいとも。今夜ウチに来な。
運が良ければ、さらわれる瞬間を見ることができるかもな。