石のはなし

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 医師という言葉の語源になった。というのは些か誇張がすぎるが宝石には確かに効験がある。
 森の賢人たる翠玉は薬物性の諸症状あるいは癲癇に。海を宿した藍玉は精神の昂揚を抑えリラックスさせる効果があるが、自制心を高めたいなら屈指の硬度を誇る金剛石だろう。胃腸が弱まったときには茶にとろりと蜂蜜を落とすのもいいが、これも琥珀で代用できる。緑柱石はとにかく強い。視力増強、滋養強壮、殺菌滅菌etc.
 これらは装飾品として身に着けることで効能を得ることができるのだが、ある時鍾乳石のつららを飴代わりに乳幼児に与えたところ忽ち夜泣きが止んだと世の母親の中で話題となった。
 膝を打つ男。各種宝石を煎じて不老長寿の霊薬を作ろうと考えた。
 黄昏を映す瑪瑙、真っ白な石英に幾重にも流紋を重ねた紫水晶、幻想と気品の女王蛋白石。世に名だたる宝玉を取り寄せては打ち砕き、摺り合わせて一服。
 そして得たのが金欠病である。
ファンタジー
公開:18/11/15 17:29
更新:18/11/20 20:10

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