恨み

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奴らと同じようにただの人間として生まれた私は、今や神になった。そして、一つの世界を支配し、そこに生まれ育った街の住民を住まわせてやっている。
私は街の外、堀のはたに降り立った。新しく掛けられた橋を渡り、街を一周する。女が足を止める。木こりが足を止める。私の姿を見ると誰もが黙って立ち尽くした。
一人だけ、おずおずと近づく者がある。
「あんたはユウヒンだろう?どうやって、ここに辿り着いた。私たちは突然
街ごと知らない土地に運ばれたんだ」
私はそいつの目を見つめゆっくりと微笑んだ。
「私達が以前暮らして世界は滅びた。私が街を新しい世界に移してやったんだ。ここは私が作った世界だ。私が神だ。生きていることに感謝しろ」
空に雲を集め、言葉を空から響かせてやった。辺りは暗くなり、雷が轟く。
街中の住人が私を取り囲むように集まった。皆、よく分かっているのだ。自分たちがどれだけ非道なことを私にしてきたのか。
ファンタジー
公開:18/11/15 12:22
更新:18/11/17 14:48

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