なないろの上に三年

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窓から虹が伸びていた。二階にある僕の部屋のベランダをすり抜けて、空へと虹が伸びている。何年振りかに僕は窓を開け、外に出た。
虹は細かい光の粉でできていて、七色に乱反射していた。気まぐれで足を乗せると、なんと登れる。歩いてみると、道の先にエプロンをした男の人が座っていた。
「なにしてるんですか?」
「虹を作ってる。光の粒子をより分けて振りまくのさ。君はどうしてここに?」
僕は言葉を失った。部屋は監獄のようで、外へ続く扉はバリケードで、世界は僕の敵で……そこに、虹が現れた。それだけだった。
「手伝ってもいいですか?」
「じゃあ赤撒いて」
七色の光を黙々と振りまいた。グリッターのように輝く虹の下で、僕のいない世界は回り続けていた。
そうやって世界中の虹を作っていたら、三年の月日が流れていた。そのうち家に帰ろうとは思うけど、免許皆伝をもらってからにする。そうすれば、きっと世界を好きになれるから。
ファンタジー
公開:18/11/14 23:51
ツイッターでことわざを作る 七味を尻に敷く修行の話と 迷ってやめて虹にしました

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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