前世二物判定装置

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「天は二物を与えず」と言うが、そんな事はないだろうと、丸眼鏡博士が『前世二物判定装置』を開発した。
これを頭に被ると、装置に付いているディスプレイに前世が何であったか表示される。ただそれだけではない。何十世代と遡り、その中で最も色濃く血を受け継いでいる二つが表示されるのだ。
さっそく二人の男が、この装置を利用した。

「どうですか?」
背筋をピンと伸ばし、精悍な顔つきをした紳士風の男が聞く。
博士が「ほぅ」と興味深げにディスプレイを覗き込む。
「あなたは『大根』と『人参』ですね」
思わぬ結果だったのか、男の顔が曇っている。
「どちらも野菜ですか?」
「ですが……」博士は丸眼鏡をクイッと上げ、満足げな声をあげた。
「あなたは『農林水産大臣』ですからねぇ」

続いて、ヘラヘラした男が装置を被った。
「僕は? 僕は?」
「こ、これは……」博士は笑いを堪えるように言った。
「君は『馬』と『鹿』だ」
SF
公開:18/11/14 23:46
140字小説 リライト

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
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2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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