巨人

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神々の世界に呼ばれて、私は己の世界の種を育てている。
種に水と光を与えると、種の表面に苔の様な緑色の物が生えてきた。手で触れると柔らかい。そこからトンボが飛び立った。バッタも。蝶々も。どれも私が子どもの頃に家の裏で追いかけたものと同じだった。懐かしい。
ということは…。ハッとして手を草から離した。間一髪、私の指に噛み付こうとした毒蛇を避けることが出来た。
あぁ、でも、蛇は今は私の小指よりも小さい。
私はこの小さな世界の創造主なのだ。彼らからすれば、世界を外から見下ろす天地よりも大きな巨人だ。

世界を育てるも作るも壊すも私の気持ち次第だ。思い知ればいい。思い知ればいい。これまで私を追い詰めてきた者たちへ復讐する。
彼らが元の世界を奪われて、こちらの世界へ逃げ込んで来た時には地獄の景色を見せてやろう。お前らのための地獄を世界の窪みに作っておくぞ。
公開:18/11/13 14:44
更新:18/11/13 17:08

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