金のたまご

貴方は金のたまご。
雛になり損なったたまご。
貴方の味は他のたまごと何にも変わりやしないよ。
わたし達は死んでいる様に生きている。長い長い夢を見ているの。
わたし達の特権は夢に描いたものになれること。
お砂糖と一緒にかき混ぜて焼いた卵焼きにする？
それとも作られなかった自分の目玉を想像して焼く？
スクランブルエッグなんか貴方にぴったりなんじゃない？
もし貴方の色が血のように赤ければ食べられる事は無かったのかもね。
それか鶏が人間よりも強かったら、貴方は一つの生命を誇りに思う時が来たのかもしれない。
白い殻に籠った金のたまごは区別がつかない。
貴方は、無垢な子供が落として重力に逆らうこともせず埃だらけの床に落ちてしまった。
貴方は夢すらも見なかったのね。