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成績が急上昇した友人に勉強のコツを聞くと、友人は針金をぐるぐる巻にして作った人形を取り出した。勉強する時に前に置いて、人形に教えるように勉強する。誰かに教える事で自分の理解が深まり、しかも試験中に人形を机に置くと、見るだけで暗記した事を思い出すというのだ。
なるほど。僕は早速針金人形を作り、一緒に勉強した。
期末テスト。僕は針金君を机に置いて問題を解こうとして、早速躓いた。ここは勉強したのに…。
「なんだっけ…」
そう呟くと、針金君がぴょこんと立ち上がり、ひょこひょこ歩いて、記号を指差した。
「そうか、Cだ」
針金君の記憶力は抜群で、その後も問題をスラスラ解いていった。
テストの後、友人を呼び止めた。
「ありがとう。まさか針金が動き出すとは思わなかったよ」
「は?そんな事あるわけないだろ」
それじゃあ…と視線を落とすと、針金君は人差し指を口元に当てた。
「内緒だよ」
そう言われた気がした。
ファンタジー
公開:18/11/13 02:25
更新:18/11/13 07:27
内緒シリーズ(?)

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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