電柱

「おい、聞いたか？」
「どうした、頬がダルダルになってんぞ？」
「元からこういう顔だ！　お前こそ、いつもより足短くなってないか？」
「元から短足だ！　それより、何かあったのか？」
「あぁ！　あこその電柱、なくなるんだってよ！」
「あそこ、って……あそこ？」
「そう。電柱を地下に埋めるんだってさ」
「へぇ。時代だねぇ。で、いつ？」
「明後日から工事が始まるらしい」
「じゃあ、明後日からはもう近付けなくなるのか」
「明日が最後になるな」
「よし、皆にも声かけるか！」
「そうだな、皆で最後にぶちかましてやろうぜ！」


翌日。
「ねぇ、ママぁ」
「どうしたの？」
「すごい並んでるよー」
「あら、ほんと。どうしたのかしらねぇ？」
「あ！　見て見て！」
「あら、ブルドッグね。その後ろはダックスフンドかしら？」
「順番におしっこしてるよ！」
「お行儀良い犬たちね」
「あの電柱、犬のおトイレなんだねー」