よるのかいぶつ

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正午の鐘が鳴った。

「よっしゃー! 今日もサンサンと紫外線を放出してやんよ!」と、太陽は元気いっぱいだ。
「いつもありがとな! お陰様で僕も元気いっぱいだ! やっぱり僕は陽の元に出てなんぼさ!」と、影も元気いっぱいだ。

「てめぇら、いちゃいちゃと暑苦しいんだよ!」
「そうだ、そうだ!」
「さっさと消えやがれ!」
唐突に現れたのは『よるのかいぶつ』と呼ばれる魑魅魍魎。
その跋扈ぶりに、太陽が逃げた。陽を失い、影も薄れる。

「あら? もう私の出番ですか? むーん!」と、月が慌てて出てきた。
「やだ! 餅つきの準備まだよ!」と、兎もピョンピョン慌てている。

「月見はまだかぁ?」
「酒がねぇぞ!」
「おせぇぞ、早くしろ!」
「酒持って来い!」

月灯りの下、うっすらと出た影が「真っ昼間から呑みたいだけかよ……」と、弱々しく呟いた。

いつもより長い夜の、魑魅魍魎の宴はまだ始まったばかりだ。
ファンタジー
公開:18/11/13 23:58
更新:18/11/14 00:16

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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