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 下駄箱と運動場の間にプレハブの長屋があって、そこが部室になっている。
 三人ずつくらいがけばだった畳に座ってジャージに着替えていた。安っぽいアルミサッシ越しに白い日差しに照らされていて、とても暑い。

 運動場の様子を思い描きながらも、僕たちはなかなかアルミサッシの扉を開こうとはしない。しゃがみこんで、何度もスパイクの靴紐をゆわえ直している。
 国旗掲揚の旗ざおには、すでに旗が翻っているような、気配を感じている。

 分かるのだ。

 そこに整列している僕たち自身の姿だって見えている。
 でも、いくどもいくども、僕たちはジャージを脱いだり、靴紐をほどいたりしている。

 銃声が聞こえた。ガラスが弾けて、見たことの無い国旗が、旗竿の先で、千切れんばかりに翻っている。
青春
公開:18/11/13 19:28

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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