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戦の後、夜の平原には無数の死体が転がっていた。太郎は月明かりを頼りに死体の中を歩いていた。探しているのは、金目の物。刀でも兜でも何でもいい。金にして母や弟を喜ばせたい。
やがて太郎は積み重なった死体の中に見事な甲冑を着た死体を見つけた。甲冑の隙間に手を突っ込むと、紙入れがあった。「しめた、お金だ」と太郎は喜んで紙入れを開いた。中には、紙の人形が入っていた。太郎は首を傾げた。指で摘んで紙入れから出した途端、人形に火がつき一瞬で燃え尽きた。太郎は驚いて飛び退った。すると、さらに驚く事が起きた。死体が生き返ったのだ。まるで、死体の男が紙の人形から命を吸い取ったように見えた。
「やれやれ。ヒトガタがまだ残ってたか」
震えて声も出せない太郎を見て、男はニヤリと笑った。
「丁度いい。補充しとくか」
男が太郎の頭を掴むと体が音もなく弾け、紙の人形がぽとりと落ちる。
男はそれを拾って、ふわりと闇に溶けた。
ホラー
公開:18/11/10 22:37
更新:18/11/11 17:32
ホラー納め もうこりごり。

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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