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杉原繁夫は、先日撮ってもらった家族写真が不満だった。
「よく撮れてるわよ」と妻聡子。
「でもなぁ、合成みたいじゃないか?お前の袖の虫食いも、芳香のヘンな化粧も、お前の寝癖も、なかったことになってるし」と繁夫。
「今は、微調整できるんだよ。いい写真じゃないか」と長男達彦は髪をいじる。
その夜、繁夫はオリンパスペンEE3に外付けタイマーをセットし、長女芳香の帰宅を待って宣言した。
「今から座敷で家族写真を撮るぞ。美鈴も連れておいで」
皆、面倒くさがったが、繁夫は譲らない。猫の美鈴も怪訝そうだ。繁夫がカメラの横から出す指示に、芳香も達彦もスマホ片手の生返事だ。
「よし、いくぞ!」 ジー…
シャッターが切れる瞬間、美鈴が聡子を引っかき、達彦に着信があり、芳香の眉がずれ、繁夫はくしゃみをした。
「みんなで大笑いしました。父も涙を流して笑っていました。最高の家族写真です」と達彦は涙を拭った。
「よく撮れてるわよ」と妻聡子。
「でもなぁ、合成みたいじゃないか?お前の袖の虫食いも、芳香のヘンな化粧も、お前の寝癖も、なかったことになってるし」と繁夫。
「今は、微調整できるんだよ。いい写真じゃないか」と長男達彦は髪をいじる。
その夜、繁夫はオリンパスペンEE3に外付けタイマーをセットし、長女芳香の帰宅を待って宣言した。
「今から座敷で家族写真を撮るぞ。美鈴も連れておいで」
皆、面倒くさがったが、繁夫は譲らない。猫の美鈴も怪訝そうだ。繁夫がカメラの横から出す指示に、芳香も達彦もスマホ片手の生返事だ。
「よし、いくぞ!」 ジー…
シャッターが切れる瞬間、美鈴が聡子を引っかき、達彦に着信があり、芳香の眉がずれ、繁夫はくしゃみをした。
「みんなで大笑いしました。父も涙を流して笑っていました。最高の家族写真です」と達彦は涙を拭った。
その他
公開:18/11/10 16:04
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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