逆歌(さかうた)のさっちゃん~B面
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『君の永遠になりたかった』
蹲った背中。
ホームにぶら下げた足の、片方は無い。
「呪いじゃない」
『嘘だ!』
腕が耳を塞ぐ。神経質に嗄れた声。
『君は僕を介護する為、無理して傍に居続けた』
「逆歌」
背中をすり抜けた指が、胸に届く。
「逆夢ってあるでしょう。悪夢を現実で反転する」
不吉に歪んだ歌詞は、願いを懸けた逆さの恋歌。
「最後に真実で結んで。願いは成就する」
さっちゃんはね、幸せだったの。ほんとだよ。
ずっと大好きだった。貴方ともっと、一緒に居たかった。
だから。
今度こそ。
「……連れてって。ちさちゃん」
進まなかった時が亀裂から粉々に砕けた。
血染めのコートが空に溶ける。
また胸を押された。優しく、けれどきっぱり。
列車が通過する。風が白髪を巻き上げた。
『まぁだだよ。幸子』
病室のベッドで目覚める。規則的な電子音。
「千里さん」
枕元の遺影は、ただ穏やかに微笑んでいた。
蹲った背中。
ホームにぶら下げた足の、片方は無い。
「呪いじゃない」
『嘘だ!』
腕が耳を塞ぐ。神経質に嗄れた声。
『君は僕を介護する為、無理して傍に居続けた』
「逆歌」
背中をすり抜けた指が、胸に届く。
「逆夢ってあるでしょう。悪夢を現実で反転する」
不吉に歪んだ歌詞は、願いを懸けた逆さの恋歌。
「最後に真実で結んで。願いは成就する」
さっちゃんはね、幸せだったの。ほんとだよ。
ずっと大好きだった。貴方ともっと、一緒に居たかった。
だから。
今度こそ。
「……連れてって。ちさちゃん」
進まなかった時が亀裂から粉々に砕けた。
血染めのコートが空に溶ける。
また胸を押された。優しく、けれどきっぱり。
列車が通過する。風が白髪を巻き上げた。
『まぁだだよ。幸子』
病室のベッドで目覚める。規則的な電子音。
「千里さん」
枕元の遺影は、ただ穏やかに微笑んでいた。
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公開:18/11/10 13:03
更新:18/11/10 18:33
更新:18/11/10 18:33
提供:幸恋(さちこい)推奨の会
作詞:創樹
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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