逆歌(さかうた)のさっちゃん~A面

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『恨んでる』
彼女の前で背中が蹲る。ホームに片脚をぶら下げて。
「恨んでない」
『嘘だ』
腕の輪に埋もれた頭が振る。
『あんな事して、のうのうと生き延びた僕を恨んでる』
高い声に反し、皮肉に折れた物言い。
彼女がここで会う彼は、いつもそう。
『あの歌は全部、君が作った呪いだ』
「真実を教えて」
指が、透き通る背中をすり抜けた。
「……貴方は、私を恨んでた?」

沈黙が降る。
進まない時の隙間に、亀裂が走る。

『恨んでない。でも、行かせたら、君は僕を忘れる』
療養の為、遠方へ引っ越しが決まった。
散々泣き喚いた翌朝、忘れ物のコートを持って見送りに来た。
遮断機の音がカンカンと、被さって警笛が尾を引く。
皆の目が列車に向いた一瞬。
どん、と。押された。
齣落としの視界。凩の巻き上げた枯葉が螺旋を踊る。
繋いだ指が引き裂かれ、涙を溜めた笑顔が遠ざかる。
車輪とブレーキの奏でる狂った旋律――――
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公開:18/11/10 13:02
童謡「さっちゃん」を 都市伝説込みで逆方向から考察 実はラブストーリーだった説

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

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