割れたビスクドール

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小学生の頃、妹と私にと叔母さんがくれたビスクドールは、一体が金髪に巻き髪で一体が栗色のストレート。顔が陶器で蒼白く、少し不気味。

高校の文化祭でお化け屋敷をやると決まり、私は栗色の髪のビスクドールを持って行った。お化け屋敷に置いたらぴったりだと思ったのだ。
文化祭が終わり、片付をしていたら、ドールが床に落ちていた。ギョッとしたのは陶器の顔が割れていたからだ。私は後味の悪い思いをしながら、ゴミと一緒に焼却炉に捨てた。
家に帰ってから、和室に寝転がってウトウトしていた。金縛りだ。体が動かない。目を開けるとあのビスクドールが上に乗って顔を覗き込んでいた。母がキッチンにいるのが見えた。お母さん、と呼んだが声が出ない。もがいていると、母がやってきた。
「どうしたの?」
途端に金縛りは解け、ビスクドールはいなくなっていた。

それから、残された金髪のビスクドールが私を見てる気がする。目が合うのだ。
ホラー
公開:18/11/10 12:14
更新:18/11/10 12:44
のりさんに捧ぐ ホントにあった怖い話

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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