あと味が良くなる音楽

「皆さん。これが新しく考案した、サウンド・ロゴです」　
音楽関連メーカー、ハマヤの会議室で、次郎君は語りだした。
「サウンド・ロゴとは、短い“テーマ音楽”の様なものです」　そう言って、ノートブックを操作する。 ♪ キララーン、と音が響いた。室内から、ホォ、という声が上がった。
「このロゴを、企業の『企業紹介』や『製品紹介』のビデオ等で使って頂いて、ビデオの最後にこれを入れると、心がわき立ちとても安心した感覚になります」
次郎君は自信満々で言った。「これで会社や製品の内容も好感度アップ！」
「なるほど、いいアイデアだ！」周囲の人はニコニコ顔になった。
「はい。自信作です」 次郎君はもう1度、その音をかけた。
...とたんに、皆は何だか不機嫌になった。
「しまった！」次郎君は、密かにあわてた。「２回、かけちゃった。マズった」

皆は“気持ちの良さ”の味わい過ぎで、胃にもたれてしまったようだ。