蛍光の彼女

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大切なところに線を引く。
忘れないように、無限に感じるほどの文字の群れから、まるでその個所を大切に保管するみたいに。
彼女の目も同様だった。
その目は、彼女がそのとき過ごしている時間が大切で愛おしいと感じたとき、蛍光色に淡く発光する。
うれしい時は黄色。悲しいと青色。怒ったときは赤色。
その時々で様々に変化する。
その色と共に、彼女の表情も様々に移り変わった。
そんな彼女の全てを、僕はとても素敵だと思う。

その彼女が今病床に伏している。
いつ亡くなってもおかしくない状態だ。
それを知ってからの彼女は、途端にその色を失ったようだった。

何もできないまま時間が過ぎた。
連絡が入った。彼女の様態が急変した。

病室に駆け込む。
ベッドの上で彼女が、こちらに気づく。

瞬間、分かった。
彼女の目が、様々な色を宿した。
驚き、喜び、悲しみ、幸せ。

感情が溢れる。

彼女の微笑みから涙が伝った。
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公開:18/11/10 19:00
蛍光色

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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