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アントニオ猪木がリングで戦っている。相手は太くて丸くて血だらけ。見ている僕はその血だらけ男の視点なのだが、それは僕ではないという感じ。だから腕ひしぎ逆十字を極められても痛さを感じない。
太くて丸くて血だらけのそいつは、寝ても立ってもまるで駄目。巨体を揺らして突進しても、携帯の着信をつい確認してしまうから、猪木の、弓を引くような正拳突きを、カウンターでくらってる。
延髄蹴りで倒れていたら、猪木が、パンパンと手を叩き、目の前でくるくると回転して、インディアンデスロックを三回。そこからはもう、張り手、コブラ、卍、のフルコース。でもちっとも痛くない。
カウント2.8で返した後、とうとう猪木が「なだれ式のバックブリーカー」を決めた。古舘伊知郎が実況していた。「おーっと!」っていうのが聞こえたから間違いない。
その「なだれ式のバックブリーカー」だけは痛かった。朝起きたら、寝違えていたからね。
太くて丸くて血だらけのそいつは、寝ても立ってもまるで駄目。巨体を揺らして突進しても、携帯の着信をつい確認してしまうから、猪木の、弓を引くような正拳突きを、カウンターでくらってる。
延髄蹴りで倒れていたら、猪木が、パンパンと手を叩き、目の前でくるくると回転して、インディアンデスロックを三回。そこからはもう、張り手、コブラ、卍、のフルコース。でもちっとも痛くない。
カウント2.8で返した後、とうとう猪木が「なだれ式のバックブリーカー」を決めた。古舘伊知郎が実況していた。「おーっと!」っていうのが聞こえたから間違いない。
その「なだれ式のバックブリーカー」だけは痛かった。朝起きたら、寝違えていたからね。
その他
公開:18/11/11 11:07
更新:18/11/11 19:11
更新:18/11/11 19:11
プロレス
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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