リコン届を揃えている出雲大社

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「ここではないどこかに行きたい」
そんなことを思いながら、通りの車や人を見つめている。とあるデパートの屋上。
出先で倒れ、ずっと意識の戻らない舅。
「悪いことはみんなアンタのせい」と言ってはばからない姑。
相談しても知らぬふりをする夫。
両親も祖父母も鬼籍に入り、親しい友人もなく、相談する相手もいない。なにもかも、どうでもよくなってきた。よじ登ろうと、柵に足をかけた。

「こちらにご記入ください」と後ろから声をかけられた。差し出された1枚の紙。
離婚届に似たそれは、離“今”届で、今いる場所から移動できるらしい。
胡散臭いなと思いながらも、書き込んだ刹那、どこかの社務所の前に着いた。
「各種、リコン届あります」と説明があった。

昏・言・困のリコン届を書く。
舅が目を覚まし、姑の罵詈雑言がなくなってほしい。
困った夫もどうにかしてほしい。
そんな願いを込めて。
ファンタジー
公開:18/11/08 23:51
スクー

富田京子

400文字に収めることと、思いついたアイデアを形にするむずかしさに苦戦しております。
くすりと笑って頂けたら、幸いです。
よろしくお願いいたします。

2番目の月がお気に入りです。

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