クラッカー

2
7

あれ?クラッカーは?
え、ちがうちがう。その、食べる方のクラッカーじゃなくて。

今日は私の誕生日。
みんな私の家に集まってくれて、色々準備してくれてたみたいなんだけど。
どうやら、食べるクラッカーと鳴らすクラッカーを間違えて買ってきてしまったという話らしい。いや、お祝いしてくれるだけで充分嬉しいよ。
そう言おうとして、けれどもその声は途中で遮られる。

「まあまあ、落ち着いてみんな。これはちゃんとクラッカーだから」
クラッカーを買ってきた智子である。

「これね、見た目はただの食べるクラッカーなんだけど。えぇと、やってみるのが一番早いか」

そう言うと、お皿に並んだクラッカーの一つをつまむ。

ぱあん。

口に咥えられ、テコの原理で割られたクラッカーから、鳴るほうのクラッカーの小気味よい音と紙吹雪が舞い散った。

クラッカーの中身は一枚ごとに違っていて、私達はつい時間も忘れ夢中になった。
その他
公開:18/11/08 23:36
クラッカー

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容