亡骸
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僕は自殺した。孤独な僕に悲しむ相手はいない。
霊安室で自身の亡骸を見下ろす。
この世に未練はない。それなのに、僕はこうして浮遊していた。しかし本当に肉親すら来ないとはね。と、思った時だった。
扉の向こうから、けたたましい足音。そして勢いよく扉が開いた。
「ど阿呆っ!」
大声が霊安室に響く。その声は母のものだった。涙と鼻水で顔をくちゃくちゃにしている。
「なんで……どうして……」
僕の亡骸にすがり、泣き崩れる母を目の当たりにし、言葉を失った。
どうやら僕は、間違っていたようだ。
「悪い事をした時は謝りなさい」
幼少期、母によく言われていた事を思い出した僕は大声を上げた。
「ごめんなさい!」
母がバッと顔を上げた。その顔が青ざめている。
「ひっ……ゆ、許して! 呪わないでぇ!!」
腰を抜かしたのか座り込んだまま、やたら大きな声で叫び続ける母。
僕はある事に気付く。
亡骸が動いて、いた。
霊安室で自身の亡骸を見下ろす。
この世に未練はない。それなのに、僕はこうして浮遊していた。しかし本当に肉親すら来ないとはね。と、思った時だった。
扉の向こうから、けたたましい足音。そして勢いよく扉が開いた。
「ど阿呆っ!」
大声が霊安室に響く。その声は母のものだった。涙と鼻水で顔をくちゃくちゃにしている。
「なんで……どうして……」
僕の亡骸にすがり、泣き崩れる母を目の当たりにし、言葉を失った。
どうやら僕は、間違っていたようだ。
「悪い事をした時は謝りなさい」
幼少期、母によく言われていた事を思い出した僕は大声を上げた。
「ごめんなさい!」
母がバッと顔を上げた。その顔が青ざめている。
「ひっ……ゆ、許して! 呪わないでぇ!!」
腰を抜かしたのか座り込んだまま、やたら大きな声で叫び続ける母。
僕はある事に気付く。
亡骸が動いて、いた。
ホラー
公開:18/11/08 21:45
やたら声が大きい霊安室
スクー
まったり。
2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)
壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)
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