133. コーヒー

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なんの予定もない日差しの暖かい土曜の午後は、いつも決まって大好きなコーヒーを淹れる。
お気に入りの豆を鼻歌まじりに挽いて、沸騰したての熱いお湯で丁寧にゆっくりと。
淹れたてのコーヒーはとても香り高く美味しいけれど、あなたを想って飲むコーヒーは私の意識をいつも以上に研ぎ澄ませる。
ミルクを多めに入れてみてもほろ苦さが飲み終わった後まで続くのは、まだ私があなたを忘れていないからなの?

お揃いのマグカップの片方が食器棚の中ぽつんと俯いてる。

『あなたには多分もう二度と会えないけど、あの子ならあなたの本当の笑顔をきっと取り戻してくれるよ。
私は遠くからあなたをずっと見守っています』

あなたとの想い出に耽りながら、私は二杯めのコーヒーをおかわりする。

二杯目のコーヒーにはあなたが私のために用意してくれた特別な薬を砕いて溶かして……。


置き手紙があなたに届きますように──。
ホラー
公開:18/11/08 21:00
更新:18/12/02 13:19
昔書いたものをリライト

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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