忘れよう、忘れよう

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姑が脳梗塞で亡くなった。同居していた姑との仲は最悪だったから、葬式の間中、私は笑うのを我慢していた。ようやく私は自由を手に入れた。
もう姑の事は忘れよう、忘れよう。
姑の部屋に残されたゴミを分別していた時に、あれも捨てなきゃと思いだした。
呪いの藁人形。
同じ苦しみを持つ友人と冗談で一緒に作ったのは、確か3年前。藁人形を作って、胴体に姑の名前を書いた紙を貼りつけて、五寸釘は持ってなかったから、画鋲を胸に刺した。そこまでやったら何かスッキリした。またストレスが溜まったら使おうと、煎餅の缶に入れて、確か押し入れの奥に。探すと、簡単にその缶は見つかった。こんなにわかりやすい所に置いてたとは。姑に見つかったら大変だった。苦笑いして缶の蓋を開けて、私は言葉を失う。藁人形の頭部に五寸釘が刺さっていた。
私は無言で缶に蓋をしてゴミ袋に突っ込んだ。
深く考えちゃ駄目だ。

もう姑の事は忘れよう、忘れよう。
ホラー
公開:18/11/09 22:13
更新:18/11/09 22:14

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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