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昔々、ある所に一軒の屋敷があった。
その屋敷は村一番の長者の家である。
広い敷地の屋敷には齢は十七、八くらいの白い肌の箱入りの美しい女性が住んでいた。当然、付き合いたいと言う男性も山ほどいた。
けれども、父親は「うちの娘をお前達にはやらん」と全て断った。

ある時、旅人が宿を貸して欲しいと屋敷を訪れた。
父親は一度は断った。しかし、これと引き換えに泊めてくれと懐からある物を取りだした。旅人が父親に差し出したのは不思議な水晶だった。
これは何だ
これは時間を止めることが出来る水晶です
その水晶に興味を持った父親は一晩だけ旅人を家に泊める事とした。

事件はその夜に起こった。

父親が水晶に時間を止めてくれと念じたところ座敷にいた娘が急に苦しみだし、死んでしまったのだ。

「ああ、私は何て事をしたのだ」

その後、娘は生まれてから一歩も家の外へ出ることなく最後は棺桶の中で生涯を終えたのでした。
公開:18/11/07 14:37

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