釈迦に鉄砲

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昔々の其の昔、傲来国は花果山に棲む、一疋の猿の化け物がおりました。自らを斉天大聖と名乗り、天に仇なす妄挙に出ますが、釈迦の手により五行山へと幽閉の身と相成ります。

其れから五百年の月日が流れ、釈迦の許しを得て、三蔵法師の弟子と成り旅をいたします。が、一見服従したように見せかけ、此の悪猿、釈迦に復讐する機会を伺っており、己が分身どもに命じ釈迦の弱点を探り出しておりました。
結果、釈迦を殺せるという神殺しの鉄砲を見つけ、手に入れます。まずは三蔵、豚、河童を屠り去ると、案の定釈迦が雲の間から顔を覗かせます。
「悟空、其方は何故己が師匠を殺めたのじゃ?」
猿は返答代わりに、鉄砲を眉間へとお見舞い申した。釈迦は崩れ落ちた。
「ギャハハ、ざまあ見ろッ!」
と、勝利を確信した猿の眼前に、五本の柱が現れます。
アッ、と聲を上げる猿を釈迦の手が掴むと、忽ちの内に五行山へと幽閉してお終いに相成りました──。
ミステリー・推理
公開:18/11/07 13:08
西遊記異聞

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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