最期の想い【シャンプーの匂いがするモルヒネ】
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爽やかでその上、ほのかに甘い香りがする。
この香りは何なのだろう。いつかどこかで嗅いだことがあるような。
ああ、そうだ。そうだった。シャンプーの匂いだ。
確か、幼稚園の頃だった。目に入るのが怖くて泣きべそをかいていた。そんな僕を母がなだめながらシャンプーしてくれた。
それから…。それから…。
中学の登校時刻。もうすぐ始業ベルが鳴ろうかという時に、いきなりダダダーッと後ろから勇ましい足音がして僕を追い抜いていった。その足音はスカートの裾を思いっきり翻して駆けていった。
長い髪の残り香が僕を締めつけた。この上なく幸せな気持ちに包まれ、身体が軽くなってふわりと宙に浮くのを感じた。
ツーッ。
心電図モニターの波形が直線になった。
「ご臨終です」
えっ?! ご臨終だって?!
あの世へ逝くって?! とんでもない!!
僕は何度でも戻ってくるよ。このシャンプーの匂いがするところへ。
この香りは何なのだろう。いつかどこかで嗅いだことがあるような。
ああ、そうだ。そうだった。シャンプーの匂いだ。
確か、幼稚園の頃だった。目に入るのが怖くて泣きべそをかいていた。そんな僕を母がなだめながらシャンプーしてくれた。
それから…。それから…。
中学の登校時刻。もうすぐ始業ベルが鳴ろうかという時に、いきなりダダダーッと後ろから勇ましい足音がして僕を追い抜いていった。その足音はスカートの裾を思いっきり翻して駆けていった。
長い髪の残り香が僕を締めつけた。この上なく幸せな気持ちに包まれ、身体が軽くなってふわりと宙に浮くのを感じた。
ツーッ。
心電図モニターの波形が直線になった。
「ご臨終です」
えっ?! ご臨終だって?!
あの世へ逝くって?! とんでもない!!
僕は何度でも戻ってくるよ。このシャンプーの匂いがするところへ。
その他
公開:18/11/08 18:43
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