空からの贈り物

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巨大な鱗状のものが空から落ちてきた。涙のような形をしていて、螺旋形に編まれた鎖帷子のように美しかった。ドローンで空撮するとそれは数式的にも芸術的にも正確な美しさで、見るものの心を奪った。
「宇宙からのメッセージか」
「侵略者か」
世論は破壊と保護に真っ二つに裂け、破壊集団、信仰集団、研究集団が生まれ、更に他国からは和平交渉を装った利権の譲渡争いを仕掛けられた。鎧のようなソレはただ沈黙を保ち、その時を待っていた。
「お母さん、でっかいまつぼっくり!」
子どもだけが見破った。ある夏の暑い日、パキパキと音を立ててかさがひらいた。大きな種子が羽を開き、世界中の子どもたちの体に入った。
「我らは宇宙をさまよい、やっと生き永らえた。生殺与奪の権利は君らにない」
そう時々言葉に出すだけで、子どもたちはいたって普通だ。
だが、空を見上げてはこう呟くという。
「早く大きくなりたいな。地球をまるごと守りたい」
SF
公開:18/11/06 11:46
更新:18/11/08 17:11
つ、月に代わって栗拾い(嘘) 生殺与奪って言いたかっただけ 松ぼっくり拾い

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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