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この、経済的困窮による生活困難者救済窓口を訪れる人も、ずいぶん減ってきた。家族の面倒は家族がみるべき、との施策が「家族法」の施行によって効果を上げているためだ。
窓口に座った老人に、私はガイドブックを手渡す。
「ここに書いてあるようにですね、ご家族に面倒をみる義務があります」
「家族なんぞおらん」
窓口にやってくるのは、こういう人だ。私はこの老人のデータを呼び出す。
「あなたの場合はですね、職歴と病歴と保険料の支払い履歴からして、準二級の被扶養資格が認められますからね」
ZZZ…
「起きて下さい。大事なことなんですから。あなたを扶養家族にすれば年350万円が控除されるわけです。これなら誰の息子にでもなれますよ」
「ガキじゃあるまいし」
こういう人は説明しても理解してくれない。私はケースワーカーに連絡する。
「よろしく。さっき節税相談にみえてたトヨダさんあたり、イケルんじゃない?」
窓口に座った老人に、私はガイドブックを手渡す。
「ここに書いてあるようにですね、ご家族に面倒をみる義務があります」
「家族なんぞおらん」
窓口にやってくるのは、こういう人だ。私はこの老人のデータを呼び出す。
「あなたの場合はですね、職歴と病歴と保険料の支払い履歴からして、準二級の被扶養資格が認められますからね」
ZZZ…
「起きて下さい。大事なことなんですから。あなたを扶養家族にすれば年350万円が控除されるわけです。これなら誰の息子にでもなれますよ」
「ガキじゃあるまいし」
こういう人は説明しても理解してくれない。私はケースワーカーに連絡する。
「よろしく。さっき節税相談にみえてたトヨダさんあたり、イケルんじゃない?」
その他
公開:18/11/07 11:18
更新:18/12/30 10:15
更新:18/12/30 10:15
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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