月に代わって栗拾い

3
7

「ねえねえお母さん!なんで栗は拾いなの?栗狩りとはなぜ言わないの?」
幼い弟は母に尋ねた。
馬鹿だなあ栗は落ちるから拾うんだよと言おうとした瞬間、母は飛んで弟の口を塞いだ。
「なにを言ったんだい!その狩は言ってはダメよ!」
母の慌てぶりは尋常ではなかった。
「あー!!宏をどうにかしなくては。納戸にとりあえず宏を。隆は雨戸を全て締めて来なさい!」
ドンドンドンドンドン
何かに追い立てるように叩く音がする。
なんだこれは?怖さで目眩がする。そうだ!雨戸を。大丈夫だ。大丈夫だ。大丈、、視線を感じる。
あっ便所の小窓。
黒い頭巾に人の目に見えない顔が無数に僕を見た。とたん窓から黒頭巾が吸い込まれるように家の中に入ってきた。僕は動けない。
母の泣き声だが叫び声が響き渡る。
弟は連れて行かれてしまった。
ここは昔飢饉で月明かりの中、隣村の栗を全て盗み生き延びた末裔が住む。
栗狩りを口にするのはご法度。
ホラー
公開:18/11/07 11:20
更新:18/11/07 12:24
スクー 月に代わって栗拾い

さささ ゆゆ( 東京 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容