蜘蛛の糸─異聞

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芥川龍之介の短篇に「蜘蛛の糸」というのがある。
地獄に堕ちた犍陀多という悪党が生前に蜘蛛を助けた事があったので、一度だけ極楽へ来る好機をやろうと、釈迦が蜘蛛の糸を地獄へ垂れてやる話だ。
俺は神田太という。昔から犍陀多と渾名されていた事もあり、文学など読まない俺が唯一好きな小説だった。

そして俺の地獄はリストラから始まった。再就職先でも中々馴染めず、職を転々とした。女房と子供が実家に帰った。俺は自棄になり、酒を飲むようになった。毎日毎日、嫌なことを頭の中から追い出すため一生懸命飲んだ。
そのうち頭の中が、何が何だか分からなくなった。正気に返ると女房と子供が、赫く汚れた床の上に転がっていた。
俺は家を出て、何故こんな事になったのかと考えた。
眼前に、一筋の蜘蛛の糸がすっと垂れて来た。天空を見上げると、雲の隙間から此方を見て笑う釈迦の顔が見えた。

「嗚呼やはり、この世は地獄ということか⋯⋯」
ホラー
公開:18/11/07 01:17
更新:18/11/07 14:57
犍陀多=カンダタ 54文字をリライトしました! ガチトラウマホラー

渋谷獏( 東京にいるけっどカンサイジ〜ン♪ )

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