大きなお豆

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「いらっしゃい」
「どうも。何かいいもの、入ってる?」
喫茶店「箱庭」にやってきた、常連客の山田さんに、マスターは皿に乗せたものを見せた。
「これ、君にみせよう思ってたところや」
「うわっ」 それは、5cmほどもあるソラマメだった。「なに、これ」
「茹でたらな、こうなったんや」
「へー。茹でる前は普通の大きさ?」「そうそう」
「ははあ、中身はどんななの?」
マスターは食用のナイフを取り出した。「君に見せたら、切ってみよかと思って」
スパッ! 「あら!空洞だな」
「はあ、皮だけ大きく膨れとったんやな」
2人はしげしげ、マメをみつめる。
「変わったマメやな。どないなっとるんやろ」
山田さんは頷く。
「これ、きっと“ジャックとマメの木”の豆だよ」 
「はあ、なんで?」
「中身が空洞だろ。洞(ほら)だから。ホラ話のマメ...なーんてネ」
マスターはかぶりをふった。
「君も、マメなシャレをいう人や」
その他
公開:18/11/06 23:08
更新:19/01/27 23:43
喫茶店

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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