カメレオンアーミー

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私はバーカウンターで一人で飲んでいた。

私の横側を見るなり、カウンターの隅に座っていた紳士を装った男はグラスを手に持ち急に立ち上がり、私の隣に席を移動した。

男は私の肩に手を回しながら口説き始めた。

「お姉ちゃん、ひとりならさ…俺と今夜付き合ってよ」

話の途切れ途切れに吃逆する。

相当、酒を飲んでいたのだろう…
男の顔全体が赤らんでおり、吐く息から一定の数値を超えたアルコールが検知された。

私は肩に回された腕を掴み、正方向とは真逆に腕を反らした。

イテテテテ…

男は自由のきく片手でバーカウンターを何度も強く叩き、ギブアップと根をあげた。

私を口説こう何て三年早い…
ピンクレディーの名曲「カメレオンアーミー」のように、もしも、私を口説き落とすものなら、私の親衛隊が泥酔男の行動を黙っていないであろう…

「マスター?私の勘定なんだけど…」

マスターは男を指差し、笑った。
その他
公開:18/11/06 21:26

神代博志( グスク )









 

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