憧れの席

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僕はこの春、小さな会社に就職した。
この会社、少し変わっていて毎日が緊張の連続だ。
何に緊張するかって?自分の席に座ることにだよ。
僕の席は一般の会社でいうところの部長が座るような部屋の最奥にある。
しかも、イスはふかふかで社長が座るような立派な物。
机だって光沢のある黒で出来たとても立派な物だ。
僕がそんな席に座っているということは社長は更に立派なところに座っていると思うだろ?
ところがどっこい、社長は何と入り口近くの新入社員が座るような席で、硬い椅子と大量生産品の机で仕事をしている。
僕は何度も社長と席を換わるよう言った。
すると社長はこう言うんだ。
「君が出世してくれたら、儂はその席に座るよ」
この席に座ることで、僕は毎日皆の注目を浴びる。遅刻なんて出来るはずもない。毎朝、全員に挨拶しなければならない。
ああ、早く出世して、あの平凡な席に早く座りたい!
公開:18/11/04 19:15

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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