走れば、現代に追いつくかもしれない

0
2

僕は君の手を引きながら、街中を駆け抜けた。

君はつんのめりながら、帽子を押さえ、無邪気な顔で笑った。

「早いよ…」

君はそうぼそりと呟いた。

「でも、このままだと、未来の電車に乗り遅れちゃうよ」

僕は息を切らしながらこたえた。

「うん」
君は納得して、こくりと頷いた。

僕は君の手を強く握りなおし、もう少しだからと声を掛けた。

「間も無く、未来の電車が発車いたします。乗車券をお持ちの方は…」
構内アナウンスが流れている。

僕らは改札をくぐり抜けて、電車利用者達の間を掻き分け、階段を駆け上がった。

電車のドアがプシューっという音をたてて、閉まる直前…

僕らはドアが閉まる直前に何とか身体をねじ込ませ、乗車できた。

「間に合ったね」
僕は笑う。

電車の中は僕ら以外誰も乗客はいなかった。未来という名の偽りに乗車してしまったのかもしれない…
その他
公開:18/11/04 20:00

神代博志( グスク )









 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容