家族になるとき

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 15歳の私は、この子と家族になることはできない。でも、この子は家族を作ることができる。そう思った。母に叩かれ、二人で泣いた。彼には嘘をついて、子供は匿名で引き取ってくれる病院へ。彼には奥さんがいた。

 子宝に恵まれないから一緒に検査をした。俺の機能が正常なのは実証済みだったが… 特別養子縁組の説明を受ける。女の子が良かったが、結婚すると出て行くから、5歳の男の子と面談。なんだか俺に似ている。今ではもう、すっかり家族だ。

 僕を5歳まで育ててくれた先生達に恩返しをしたい。だからここでアルバイトしている。大学では幼児教育を専攻しているんだ。
「若いのに感心ね」と結さんが言う。「結さんだって若いですよ」と言うと、「もう三十路も半ばよ」と笑った。
 僕は結さんといると安心できる。働く理由も似ていて「……そうね、使命、かしら」なんて言ってた。

 二十歳になったら、僕は結さんにプロポーズする。
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公開:18/11/04 14:12
更新:18/11/06 07:48

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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