葬送曲

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病床の姉の看護で朝を迎える日々。
ある夜フルートのような音色が聴こえてきた。
「何だろう?」
「ナイチンゲールという鳥の声よ」
姉は言った。
「なんて、美しいんでしょう。でもこれは…葬送曲だわ」
その夜、姉が亡くなった。

弔問に訪れた隣の住人が言う。
「あの夜はナイチンゲールが良く鳴いてたね」
「それが?」
「墓場鳥っていう別名があるのさ、不吉な鳥だよ」

夜になるとあの鳥の鳴き声が聴こえてくる。姉が亡くなったのはナイチンゲールのせいなんじゃないか?あの夜の葬送曲が死神を呼び寄せたのではないか?

ある夜、あの日と同じ葬送曲が聴こえてきた。ナイチンゲールは僕も殺す気だ。僕は銃を持ち、外に出た。樹の上に、美しい声で鳴く灰茶色の鳥がいる。狙いさだめて撃つとポトリと地面に落ちた。

何故だ?
ナイチンゲールは死んだのに、葬送曲は止まらない。美しいフルートの音が、隣の住人の部屋から流れてきた。
その他
公開:18/11/02 13:36
更新:18/11/02 15:33
スクー 犯人になりがちなナイチンゲール

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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