『元伴侶の復活』

　「仕方ないだろ。この際、２人には死んでもらおう」。新郎・悟の父、剛が言い放った。剛の妻であり新婦・恵の母・綾も首肯した。剛も綾もバツ一で再婚。元の妻と夫とは共に離婚での生き別れである。困ったのは、剛の息子と綾の娘ができてしまった事だ。ここは結婚式と披露宴をどう乗り切るかと、家族会議を開いた。
　結論は極力少人数に止め、新婦の親代わりの叔父他、複数の擬似親戚を仕込み、何とかドサクサの中、乗り切ろうという事になった。綾の両親は「既に他界」という筋書きに４人は同意した。某月某日某ホテル、「桐の間」で行われた２人の祝宴は無事終了した。
　「やれやれ、やっと終わったか」。家族４人が招待客を送り出したところ、隣の「葵の間」から剛と綾の元伴侶が出てきた。４人は互いにバツ悪く一旦、無視したが、綾の元伴侶が綾に「お前も仕込みの招待客か？」、綾「あら、あんた生き返ったんだ」