カーキ色の記憶

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それは、茶色がかった黄色だったり、濃緑色だったり。サンドベーシュ、ブラウン?オリーブ、ミリタリーグリーン…
「すごいな」
部屋を様々なカーキ色が埋めつくしていた。その子供は、時に悲しそうに、時に勇ましい顔で、カーキ色を丁寧に取り分けていた。
「君はここで何をしているの?」
「ねえ、何でこんなに色々なカーキ色があるか知ってる?」
その子供は逆に尋ねてきた。
「うーん、何でだろう」
「このオリーブグリーンは
森林で戦うため。この茶色がかった黄色は黄土の大陸で戦うため」
「戦いの色か」
「戦いの記憶を整理しているんだ。皆傷付き混乱してるからね。ほら、また来たよ」

「お願いします」
兵士は子供に頭を下げ、軍服を脱いで去っていく。子供は血で汚れた軍服を手に立ち上がった。
「どこに行くんだ」
「洗濯だよ。だってこんな血まみれじゃ何色かわからないじゃない?」


「ほら、あなたも早く脱いでくれないと」
その他
公開:18/11/03 11:27
スクー 取り分けるカーキ色

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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