タイツ姫

とある国に、国民の受けの悪い姫がいた。
姫は常にド派手なドレスを身に着け、厚化粧を施し、ツンツンした態度で好き放題していたのだ。
そんなある日。
「姫っ！　どうなされたのです？」
執事たちが慌てふためいている。
「どう？　素敵でしょ？」
「素敵と言うか何と言いますか……」
執事たちが困惑の表情を浮かべている。それもそのはず。なんと、姫が全身タイツ姿になっていたのである。それだけでなく、顔もほぼノーメイクだ。
「今、これが最先端らしいわ。ドレスや厚化粧なんて時代遅れよ」
不思議にも、あれだけツンツンしていたお姫様がニコニコしている。
「そのような情報を一体どちらから？」
「うるさいわね。私の勝手でしょ！」
「しかし、姫がそうようなお姿では……」

そんなわけで、姫は「タイツ姫」と呼ばれるようになり、国民から愛されるようになったという。

「そんなバカな」
と、執事たちは今でも首を傾げている。