おばあちゃんち

おばあちゃんちには行きたくない。
山の中にあって行くのに車で二時間はかかるし、コンビニはおろか隣の家も見えない。いっぱいある木に囲まれるようにポツンと建っている。
おばあちゃんは他の人に聞かれないからどんなに遊んで騒いでもいいよと言うけれど、僕はもう小学六年生だ。ゲームをしたいけどおばあちゃんちにはない。
おばあちゃんは誰も訪ねてこないから気が楽だろうと言うけれど、僕はおばあちゃんとパパとママとあまり話すことがない。友達と漫画の話をしたい。
「ねぇおじいちゃんは？」「おじいちゃんは旅行に行ったよ」「そう、残念だね」
嘘だ。
どうして、おじいちゃんがボケた途端に、隣に声が聞かれない家に引っ越したのか。
どうして、誰も訪ねてこない所が楽だと思うのか。
僕は知っている。
だっておばあちゃんちで寝ると絶対におじいちゃんが枕元に立っているからだ。
だから僕はおばあちゃんちに行きたくない。