パンパンスマイル

クロワッサンとメロンパンのもとに、マロンパンがやって来た。
「どうしたの？」
「フラフラだな！」
「くり貫かれました……」
「栗を？」
「もはや、ただのパン！」
「酷いです」
「甘い顔してるからよ」
「新しい栗が必要だなー」
「ですね」
「じゃあ、私が拾いに行くわ！」
クロワッサンはそう言うと、栗拾いへ出掛けた。

夜が明け、クロワッサンが帰って来た。
「ごめん。月明かりだけじゃ見つけられなかった」
と、三日月型の体をさらに細らせ、しょんぼりしている。
「よし、俺に任せろ！」
メロンパンはそう言うと、クロワッサンに代わり栗拾いへ出掛けた。

日が沈み、メロンパンが帰って来た。
「あったぞ！」
と、太陽のような笑顔で栗を掲げる。
「ありがとうございます！」
こうしてマロンパンは元気を取り戻した。クロワッサンとメロンパンも嬉そうだ。
月明かりが笑顔でパンパンに膨れた三人の頬を、優しく照らした。