ネジのはずれ

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俺の勤務する病院に、奇妙な患者が増えている。
集団ヒステリーの一種とみられるが、全員「自分の頭のネジが外れた」という妄想に捕われていた。今日も、ウハハハハハハハハ⋯⋯という耳障りな哄笑が病棟中に響き渡る。

そんな患者達をひとりひとり診察していると、こっちの頭までおかしくなってしまいそうだ。日毎、感染者が増え続けているのだが、いまだ原因が掴めずにいる。そもそも頭にネジなぞ付いているワケもないのに、このイカれた妄想は一体どこから出てきているのだろう?
そんな事をつらつらと考えながら、俺は病院内の自室へと戻った。
部屋に入ると、大きなネジがひとつ置かれてあった。
俺はそのネジを持ち上げてみた。
「フフ⋯⋯」
看護婦の悪戯かな?
「アハハハ⋯⋯」
ああ、可笑しい。
可笑しい、可笑しい。
俺は、大声で笑いたい衝動を抑えることができなかった。
「ウハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ⋯⋯」
ホラー
公開:18/11/01 13:02
更新:18/11/02 16:31
読書の日×54字の文学賞優秀作 を400字にリライトしました!

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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