かかとを踏む椅子

机に突っ伏している男子高校生のかかとを椅子の脚が踏んだ。飛び起きた彼は、それからかかとを狙われるようになり、居眠りができず、成績はうなぎ上り。
志望する大学に入学し、やがて社会人となった。
会社の椅子も彼のかかとを踏もうとするので真面目に仕事に取組み、それが認められ、順調に出世。
結婚し、子供にも恵まれ、無事に定年退職の日を迎えた。
退職後はソファでのんびりするつもりが、妻と二人で座るとき以外は、ソファの脚にもかかとを狙われる。
おかげで、家事や庭いじりに精を出し、ご近所の評判も良好。
しかし、妻は、落ち着きがなく動き回り、ソファの隣にいつもいる夫にため息をついている。