年賀状アルバイト
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高校1年生の頃、僕が初めてのアルバイトに選んだのは、年賀状の仕分けスタッフだった。
「君、動物は好き?」
「はい」
「よかった。頼みたい仕事があるの」
勤務初日、会議室で僕は説明を受けた。
「年賀状の絵はね、12年に1度のチャンスだからって張り切りすぎて飛び出しちゃうことがあるの。それを元に戻して消印を押してほしいの。押したらみんなおとなしくなるから」
檻の中では沢山の小さなイノシシたちが駆け回っていた。水墨画もクレヨン画もあり、種類は様々だ。
僕は1匹1匹なだめて、パズルのピースをはめるように年賀状に戻して、消印を押した。
「あら、早いわね。才能あるんじゃない」
僕は翌年も、その翌年もこのアルバイトを続けた。
大学3年生になった僕は、いつものように絵をなだめようとしたが、彼らは全く言うことをきかなかった。
僕の手をすり抜けた龍たちは、会議室の窓の隙間から大空へと飛び立っていった。
「君、動物は好き?」
「はい」
「よかった。頼みたい仕事があるの」
勤務初日、会議室で僕は説明を受けた。
「年賀状の絵はね、12年に1度のチャンスだからって張り切りすぎて飛び出しちゃうことがあるの。それを元に戻して消印を押してほしいの。押したらみんなおとなしくなるから」
檻の中では沢山の小さなイノシシたちが駆け回っていた。水墨画もクレヨン画もあり、種類は様々だ。
僕は1匹1匹なだめて、パズルのピースをはめるように年賀状に戻して、消印を押した。
「あら、早いわね。才能あるんじゃない」
僕は翌年も、その翌年もこのアルバイトを続けた。
大学3年生になった僕は、いつものように絵をなだめようとしたが、彼らは全く言うことをきかなかった。
僕の手をすり抜けた龍たちは、会議室の窓の隙間から大空へと飛び立っていった。
その他
公開:18/11/01 21:52
北海道出身です。
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